ブルー(被毛・瞳)
イタリアングレーハウンドのカラー(毛色)には、「フォーン」、「レッド」、「グレー」、「ブルー」、「クリーム」、「ホワイト」、「ブラック」、「スレート・グレー」、「シール」、「イザベラ(栗毛色)」などと、これらを地色として白のマーキングが入ったカラーがあります。
特に人気の高い「ブルー」についてご説明します。
ブルー=青。
普通に考えると、青い色の犬なんて考えられませんよね。
絵の具の青とは全く別の色になります。
しかし、毛色を色合いで考えるならば「ブルー」となります。
黒でも、水色でもない「ブルー」なのです。
人間の色目で見ますと、「グレイ(grey/gray/灰色)」が最も近い印象の色合いかもしれません。
太陽光の下に輝く、美しいブルーコートの子は一見の価値はあります。
犬の毛色を決定させるカラー遺伝子で考えますと、ブルーはユーメラミン色素によって黒色となった披毛をグレー遺伝子により色抜きし発色させたカラーとなります。
遺伝子座(locus) / 優性順位
G(Gray) グレー / グレー作出の為の遺伝子座
1.G ブラックをグレーに変色させる。(鼻、アイライン、パッドも薄まります)
2.g カラーに影響せず。
ダックスフンドにあるブルーとはカラーを発色させる遺伝子座が違います。
ユーメラミン色素によって黒色となった披毛をダイリューション遺伝子により色抜きし発色させたカラーとなります。
Dilution locus(ダイリューション ルーカス) / ブルー作出の為の遺伝子座
1.D コートに影響を与えません。
2.d 黒(ユーメラニン色素)系統を色抜きします。
いずれにせよ黒色を発色させるユーメラニン色素(人間のこの色素によって日焼けしますよね)に作用し変色させてブルーを作出させますが、ご覧のように作用するカラー遺伝子が違いますので実際比べてみると同じブルーといっても色合いは違うものとなります。
ユーメラニン色素に作用しますので、実際には毛色以外にも「鼻」「アイライン」「パット」「虹彩」にも作用しブルーに変色させます。
この場合は、ブラック(黒色)で無ければ一般では欠陥とされることの多い「鼻」「アイライン」「パット」「虹彩」ですが毛色に準じたブルーが正規の色合いになります。
先日もご質問を受けましたものですから、あらためて記述します。
遺伝性疾患などを考えていますと注意しなければならない色合いがあります。
虹彩(人間では欧米人の多くに青目、緑目、茶目などの方がおりますがその色合い部分)が青色ですとダップル/マール(カラー遺伝子)から作出される青目をイメージしてしまいます。
M(Male) マール(ダップル) / ダップル・コート作出の為の遺伝子座
1.M ダップル班を発現する。
2.m コートに影響せず。
ダップル/マールで作られる青目は、遺伝子の作用により視力の無い盲目や弱視です。
ダックスフンドやチワワ、シェットランド・シープドッグなど良く見かける犬種のもつカラー遺伝子の一種であるダップル/マール遺伝子と勘違いしてしまいがちです。
しかしながらイタリアングレーハウンドのブルーの持つ青目はダップル/マールとは全く違う遺伝子であるグレー遺伝子により作出されるカラーです。
現在、グレー遺伝子による青目によって盲目や弱視になることはないと考えられています。
実際にダックスフンドやチワワとイタリアングレーハウンドを比べると、青目といっても全く違う色合いであることは一目瞭然で分かります。
ダックスフンドやチワワ、シェットランド・シープドッグの青目は「ブルー・アイ」、「フィッシュ・アイ」、「パール・アイ」、「チャイナ・アイ」などと言われる透き通った真っ青であり
、イタリアングレーハウンドの青目はグレーがかった灰色に近い色です。
これも成長によって色合いが変わり、比較的幼年期の頃はチャイナ・アイに近い澄んだ青に近く、加齢と共にグレイっぽくなる気がします。
ブルーのイタグレを家族の一員に迎えられたのでしたら、幼年期の澄んだ美しい青からグレーまでの色彩の変化を楽しまれることもステキです。
欧米の方などは赤ちゃんからお年寄りになるまで、髪の毛や瞳の色が美しく変わることをファッションとし、生活をエンジョイされているようです。
いずれにせよイタリアングレーハウンドの青目は、ダップル/マールの遺伝性疾患による盲目・弱視とは全く違うものと承知してください。
イタリアングレーハウンドはサイトハウンド(視覚狩猟犬種)に属される、目の良さにより獲物を探す猟犬であり、その犬種の大半を占めるブルーに盲目・弱視が現れるカラー遺伝子がある訳ありません。
2012.10/28